朝ごはん抜きは血糖値に悪い?実はOK?

「朝ごはんを食べないと血糖値が上がるよ」
そう聞いたことがある方も多いでしょう。
けれど最近、「朝食抜きが体にいい」とも言われ始めています。

特に注目されているのが「間欠的断食(Intermittent Fasting)」です。
一体どちらが正しいのでしょうか?
今回は糖尿病と血糖コントロールの観点から、
最新のエビデンスに基づいて解説していきます。

間欠的断食(IF)とは?

間欠的断食(Intermittent Fasting)とは、
「一定時間は何も食べず、残りの時間だけで食事を摂る」という食事法です。

主な方法は以下のとおりです:

  • 16時間断食(16:8法):1日8時間だけ食事、残りは断食
  • 5:2法:週5日は普通に食べ、2日は極端にカロリーを抑える
  • 隔日断食(ADF):1日おきに断食と食事を繰り返す

特に人気なのは「朝ごはんを抜いて、昼〜夜の8時間で食べる」というスタイルです。

【2. 朝食抜き=悪なのか?】

「朝食を抜くと太る」「血糖値が乱れる」
こうした考えは長年、常識とされてきました。

しかし、近年の研究では、
必ずしも朝食が必要とは限らないという知見も増えてきました。

【3. 朝食抜きと血糖値のエビデンス】

以下は代表的な研究です:

Sutton et al. (2018) [PMID: 29951594]
プレ糖尿病患者を対象に、早朝型の間欠的断食を8週間実施。
結果、空腹時血糖の改善・インスリン感受性の上昇が見られました。

Kahleova et al. (2017) [PMID: 28446487]
2型糖尿病患者では、朝+昼の2食制の方が3食よりも
HbA1cや体重の改善効果が大きかったと報告。

Arnason et al. (2017) [PMID: 27810403]
糖尿病患者におけるIFのレビュー。
血糖コントロールや体重の改善に有効な可能性が示されました。

時間制限食が血糖に悪いとは限らないということが見えてきます。

【4. 朝食を抜くと本当に危険な人】

とはいえ、朝食を抜いてはいけないケースもあります。

  • インスリン注射中の方
    低血糖のリスクがあるため、原則NG。
  • 糖尿病予備軍の方
    空腹時の血糖制御が不安定なため注意。
  • 高齢者や低栄養の方
    サルコペニアや栄養失調の危険がある。

全員にIFが合うわけではないことを理解しましょう。

【5. 糖尿病患者における現実的な取り入れ方】

間欠的断食を取り入れる場合は次の点を意識しましょう:

  • 医師に相談してから始める
  • 薬物療法との併用は避ける
  • 最初は14:10法など緩やかな方法を選ぶ
  • 低血糖症状に注意

また、夕食を早く終えるスタイルの方が
代謝改善に効果的という報告もあります。

【6. 医師の視点から:結局どうすべきか】

糖尿病専門医としての結論は次の通りです:

「朝食を抜くかどうか」ではなく、
「食事全体の質とタイミング」が大切

無理に朝食を抜かなくても、次の工夫で血糖改善は可能です:

  • 夜遅くの食事を避ける
  • 高GI食品を減らす
  • 朝食に食物繊維やタンパク質を取り入れる

【7. セカンドミール効果とのバランス】

日本では「朝食をとることで昼食後の血糖値が抑えられる」という「セカンドミール効果」が重視されます。

確かに、朝食を抜いた場合、昼食後の血糖スパイクが起きやすいという報告もあります。
ただし、すべての人に当てはまるわけではありません。

朝食を抜くIFと、セカンドミール効果を生かす食事法。
どちらを選ぶべきかは年齢・治療内容・生活スタイルによって変わります。

医師と相談のうえ、自分に合った選択をすることが大切です。

【まとめ】

  • 朝食抜きは必ずしも悪ではない
  • 一部の糖尿病患者にとっては有効な選択肢
  • ただし、インスリン使用中や高齢者は注意が必要
  • セカンドミール効果を重視する選択肢もある
  • 最終的には医師と相談し、自分に合った食事法を選ぼう

🔖参考文献

Arnason TG, et al. Can J Diabetes. 2017. PMID: 27810403

Sutton EF, et al. Cell Metab. 2018. PMID: 29951594

Kahleova H, et al. Diabetologia. 2017. PMID: 28446487