フライドポテトが体を壊す!?専門医が警告する「血管の焦げ」とHbA1cの真実

フライドポテトが体を壊す!?

こんにちは。

突然ですが、あなたは健康診断の結果を見返しましたか? 「血糖値が高めです」 「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が基準を超えています」 そんな文字を見て、ドキッとしたかもしれません。

「まだ薬は飲みたくない」 「でも、何をどう変えればいいのかわからない」 多くの患者さんが、診察室でそう漏らします。

食事療法は、糖尿病治療の要です。 しかし、いきなり全てを変えるのは不可能です。 そこで、私がまず最初に見直しを提案するものがあります。 それが「フライドポテト」です。

フライドポテト
フライドポテト

「えっ、ポテトくらいで?」 そう思うかもしれません。 しかし、この黄金色のスティックには、あなたの血管を傷つける「ある理由」が隠されています。 今日は、最新のエビデンスを交えながら、その理由を解説します。

なぜ「フライドポテト」が血糖値を狂わせるのか

フライドポテトが好ましくない理由。 それは、単にカロリーが高いからではありません。 最大の問題は、「糖質」と「油」の最悪な組み合わせにあります。

フライドポテトの悪さ
  • 血糖値の急上昇(高GI食品) ジャガイモは、野菜の中でも特に糖質が多い食材です。 加熱されることで、そのデンプンは吸収されやすい形に変わります。 これを油で揚げるのです。 高カロリーかつ、血糖値を急激に上げる「高GI食品」の代表格となります。
  • 止まらなくなる「至福点」 塩気、油の旨味、そして糖質。 この組み合わせは、脳の報酬系を強く刺激します。 「やめられない、とまらない」状態を作り出すのです。 結果として、つい食べ過ぎてしまいます。
  • 第三の脅威「AGEs(終末糖化産物)」 これが最も恐ろしい点です。 高温で揚げた炭水化物は、「AGEs(エージーイー)」という物質を大量に発生させます。 これは「タンパク質と糖が加熱されてできた焦げ」のようなものです。 AGEsは血管の内壁に蓄積します。 そして、動脈硬化や糖尿病合併症を密かに進行させるのです。

「フライドポテト」世界の研究が示す「衝撃の事実」

ここで、科学的な根拠(エビデンス)を見てみましょう。 専門医として信頼できる、世界的な医学論文をご紹介します。

エビデンス1:ポテトの食べ方で糖尿病リスクが変わる


日本の食卓にも馴染み深いジャガイモ。 調理法によって、糖尿病のリスクはどう変わるのでしょうか。 米国で行われた大規模な追跡調査があります。

ハーバード大学の研究チームによる報告です。 彼らは、医療従事者など約20万人を対象に調査を行いました。 その結果、ジャガイモの摂取量が増えると、2型糖尿病のリスクが上昇することが分かりました1。 特に注目すべきは、調理法による違いです。 フライドポテトを週に3回以上食べる人は、食べない人に比べて糖尿病リスクが19%も高かったのです。 一方で、全粒穀物への置き換えは、リスクを低下させました。

エビデンス2:揚げ物の頻度が寿命を縮める?


次は「揚げ物」全般に関する研究です。 これも米国での大規模なコホート研究からのデータです。 約11万人を対象に、20年以上にわたって追跡調査が行われました。

結果は明白でした。 揚げ物を食べる頻度が高いほど、2型糖尿病および冠動脈疾患の発症リスクが高まりました2具体的には、週に4〜6回揚げ物を食べる人は、週1回未満の人に比べて糖尿病リスクが39%も増加しました。 さらに、週7回以上食べる人では、リスクは55%増に達しています。 つまり、食べる回数が増えるほど、確実に体は蝕まれていくのです。

エビデンス3:AGEsがインスリンを効きにくくする


なぜ揚げ物がこれほど悪いのか。 そのメカニズムの一つとして、先ほど触れた「AGEs」の関与が指摘されています。 食事由来のAGEsを制限することで、どのような変化が起きるのでしょうか。

ある臨床研究では、過体重の糖尿病患者などを対象に実験を行いました3AGEsの少ない食事(蒸す、茹でるなど)を摂取したグループは、通常食のグループと比較して、インスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)が改善しました。 さらに、体内の炎症マーカーも低下したのです。 高温調理された食品を避けるだけで、代謝機能が回復する可能性が示唆されています。

「フライドポテト」は一生食べられない?

脅かすようなことばかり書いてしまいました。 しかし、私は「一生ポテトを食べるな」とは言いません。 それは、人生の楽しみを奪うことだからです。

大切なのは「頻度」と「置き換え」です。 私の外来では、患者さんに以下の3つを提案しています。

  • 「セットのポテト」をやめる ハンバーガーショップに行くなとは言いません。 ただ、サイドメニューのポテトをサラダに変えてみてください。 それだけで、AGEsの摂取量は劇的に減ります。 カロリーも半分以下になります。
  • 食べるなら「特別な日」だけにする 日常的なランチで揚げ物を食べるのは避けましょう。 フライドポテトは「嗜好品」です。 ケーキと同じ扱いにするのです。 月に1回、友人と楽しく食べるなら、大きな問題にはなりません。
  • 調理法を変える 自宅でジャガイモを食べるなら、「茹でる」か「蒸す」を選びましょう。 冷やしてポテトサラダ(マヨネーズは控えめに)にすれば、レジスタントスターチという成分が増えます。 これは食物繊維と同じような働きをし、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。

「フライドポテト」に関する小さな選択が、未来のあなたを守る

糖尿病は、自覚症状がほとんどありません。 だからこそ、健康診断の数値(HbA1c)は、体からの無言のメッセージなのです。

今日のお昼ごはん。 あるいは、今夜の夕食。 そこで「揚げ物」を選ばないという選択。 その小さな積み重ねが、5年後、10年後のあなたの血管を守ります。 合併症を防ぎ、健康寿命を延ばすことにつながります。

あなたの体は、あなたが食べたもので作られています。 専門医として、あなたの「賢い選択」を心から応援しています。 一緒に、HbA1cの改善を目指しましょう。

参考文献

  1. Muraki I, et al. Diabetes Care. 2016 Mar;39(3):376-84.
  2. Cahill LE, et al. Am J Clin Nutr. 2014 Aug;100(2):667-75.
  3. Uribarri J, et al. J Am Diet Assoc. 2010 Jun;110(6):911-16.e12.

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この記事を書いた人
都内の総合病院で糖尿病や内分泌疾患を専門に診療している医師です。総合内科専門医/糖尿病専門医/内分泌代謝科専門医/医学博士。年間2000人以上の糖尿病患者さんを診察しながら、学会発表や研究活動も行っています。このブログでは、日々の診療で感じた「患者さんが本当に知りたいこと」「わかりづらい医療情報をわかりやすく伝えること」を大切にしています。正しい知識を知ることが、安心への第一歩になりますように。